書架沈没船36525

100年あれば物語が36525ぐらい意識下に溜まるような気がする。その書架の引き出し。

Dr. House/ドクター・ハウス シーズン1-1 診断嫌い【感想】

House M.D.

患者は嘘を吐くから、と診察嫌いの医者。

六年間も診察せずに解雇されなかったのは驚きです。

 

確かに患者は嘘を吐くし、痛みの度合いとか箇所とか期間とかが正確じゃなかったり、その証言で診断していくのも一苦労かも……?

などと予想しながら見始めました。
前評判は高評価だったような? ぐらいの知識で視聴開始です。

 

 

--------------以下 1話内容感想--------------------

 

幼稚園の就業中に倒れて運ばれて来たレベッカ

医者が顔付き合わせて病名をあれじゃないかこれじゃないかとしているシーンがリアル。

MRI検査ってハンマー音がしますと言われるけれど、あの狭い空間の中でハンマー音を聞き続けるのは患者によっては苦痛かもしれないと思いました。後の話で出て来ますが、高濃度酸素ポッドも閉所恐怖症者には無理かも。

 

ハウス医師は診察嫌いだけど、診察しなさすぎて早々に診察ペナルティを課せられて診察することに(……安楽椅子探偵的な予想をしてたのでちょっとがっかり……)。嘘の中の真実を探すとはいえ、結局のところ部下に患者の診察は頼むので一切診察せずに診断するわけではないようです。

それにしても首席で卒業したのに犯罪歴のおかげで採用されたんだと知らされてしまったフォアマンは災難でしたね……美人だけど困難な道を選んで素晴らしい、的に評されたキャメロンはまだ良かったのか、と思いましたがやっぱり嫌だな。そりゃ医者は困難な道でしょうが、美しさを武器にする職業が楽なわけじゃないですし。医者の道を選んで努力もしたのに、採用の決めては結局美しさかよ…………いや”美しさを利用せず努力したから雇った”っていうふうに言っていたけど、やっぱりその判断は”美しい””けど”っていう判断が入っているやつね。

 

病因は寄生虫でした。ハムにも寄生虫がいるの……⁉︎ とそっちの方が気になった回でした。こんな身体中に卵が回って虫が住み着くようなのは怖い。思わず有鉤条虫を調べました。ハムも加熱済みだし生ハムもおそらく塩漬け乾燥の過程を経ているから大丈夫大丈夫な筈。

 

レベッカが子供たちに囲まれてさあキスして! っていうシーンはまさに幼稚園教諭で良かったです。

ドクター・ハウスは、うーん、なんだかセリフ回しにちょくちょく受け入れきれない時があります。まあ患者を診ず病名を推測する、というミステリーを期待して2話目も見ようと思います。

月に囚われた男

<Moon>

2009年公開 イギリス

 

たった一人の人間であると気づいてしまった孤独と恐怖を考えたい時にこのタイトルが飛び込んで来たので見ました。(そんな気分のときもありますよね)(※予期したものとは少し違いましたが)

デヴィッド・ボウイの息子 初監督」というアオリがついていたので常の如く「〜〜の息子/娘、というアオリは当人にとっては嬉しく無いのでは?」と躊躇ってしまいましたが、なるほどこれに限っては『地球に落ちて来た男』(1976年版)を想起させられてしまうので許容します。
原題の『Moon』に対し邦題が『月に囚われた男』とされているのは、ほぼ間違いなくデヴィッド・ボウイ主演の『地球に落ちて来た男』を踏まえているのでしょう。含意があって邦題の方が素敵。それにしても”〜〜の息子”というアオリは嫌だなあ。

 

視聴後の感覚としては、わりと救いがある終わらせ方でした。

 

2007年公開の『アイ・アム・レジェンド』のごとく、応えが無い通信を送り続けてマネキン相手に挨拶して、耐えきれなくなったら「Say hello to me!!」と怒り狂うような図を考えていましたが、狂うより前に話し相手ができて良かった。(※ただし相手は自分)

 

2009年の映画でも宇宙空間というのはどうしても作り物めいてしまうな、と感じながら見ていましたが、なるほど低予算だったのですね。それでも500万ドル掛かっているわけですけれども。

私はSFを好みますが、それは宇宙という新しい舞台と未知のギミックに囲まれた人間が面白いわけです。ですので今作のような、人間が自分である事を疑わざるを得ない状況というのは好きです。

最初の方はわりとなんとなく見ているような映画でしたが、最後の五分は何を残しておくのか、サムの行動にドキドキしながら観ました。

 

 

---------以下 内容感想-------------

 

 

クローン人間やそれに類似する人間に対する規範をそろそろ人類は整備するべきでは無いか……?

 

作中でクローン人間が禁止されているのか、それとも禁止ではないがルナ社がこっそりクローン人権に配慮しない労働のさせ方をしていたのか定かではありません。物語の本質には必要ないのでクローンの扱いについては言及されません。
しかし現実(※2024年時点)も人間のクローンを作成するだけの技術に達していると思われ、あるいは到達しようと思えばできる地点にあるのではないかと考えますので、新規の技術に対応する法体系が必要になって来ているのではないでしょうか。
2009年時点でさえクローンは目新しい話題ではなくなっていたと思います。
クローンを動物にのみ留めるのか、再生医療として〝人間未満〟までは許すのか?
再生医療分野については議論が報道されていた時期もあったような?)

人間類似AIについてはまた別の規範の組み立てが必要かと思いますが……。現在の技術内で生成される感情想起型のロボットについて、うまく適合するようなロボット三原則のようなものも必要になるでしょう。

AIについてはプログラムとそれを使用する人間の問題なので、まあ上手くまわるシステムがあれば問題ないでしょう。ただ〝クローン人間〟となると、〝人間〟とは? という定義を議論して人類の間で最大公約数を発見する必要があるので時間が必要となるのでは?

とかく、技術が革新される前に規範を持っておかないと。現在、生成AIについて混乱しているのは事前の規範整備ができなかった所為では……

 

……などとついつい考えました。
日本を含む国々で、クローン人間についてはやはり倫理の点から禁止に類いする措置をされているようです。技術的に可能なものについては規範を作るべきではないかと思いますが、禁止されているものについての規範を作る、というのはどうにもモチベーションが上がらない事は分かります。

 

少し話題を転換して感情を持つロボットについて。
これは”感情を持つもの”がロボットか人間か、どんな肉体を持つかで分けることができるのだろうけれど、この〝プログラミング上の反応がより人間らしく見える〟ロボットと、〝感情を持つプログラム〟の違いを分けられるか? その問いに答えを出せる日が来るのか?

というのはいつも疑問であります。

ジェミノイドにしろ死後の復元ロボットにしろ、それら(彼/彼女ら)が〝プログラミングにより感情らしく見える反応を出力する〟ようにできたとき、彼ら/彼女らが「私を消さないでください」と言ったときに、それら(彼/彼女ら)を壊さなければならないときどうするか? 答えは永遠にでないのではないか。

私がこの『月に囚われた男』でガーティに対し、「感情をまねたプログラミングの出力」なのか「プログラムにより生成された感情」なのか判断しあぐねている所でもあります。

ガーティがたまにはぐらかす回答をよこすので、会話のビッグデータを学習したAIを想起します。現在でもこのぐらいの擬似感情結果ぐらいは出力できそう。

 

ガーティの単純な顔文字による表情は、受ける側の人間がその単純さの奥にものを見るため、より人間らしいマスクで表情を作るより感情があるように見えます。
上部レールにぶら下がる形のサポートロボットというアイディアも良いですね。ガーティは基地の外に行けないから知らない、行く必要が無いから知識をインプットされていない、という制限を付けられるし、人間用で段差のある床を歩き回るよりも、基地内という限定的な機能で十分なので専用レール上を動き回るのは、世界観としてもフィットします。

未来の労働現場のロボットととしても良い一つの例だし、本作の、人間外の感情について考えさせるアトラクタとしても魅力的です。

 

さて、〝クローンである出自を隠され、偽の記憶の植え付けられて労働に従事させられているサム〟について。

コピー元のサムが、元々月で働いていてクローンを残して月で死んだのか、それとも自分は地球に帰ったのか、あるいは月に行かずにクローンだけ月に送ったのか、気になる所ではありますが、本筋には関係ありません。

労働しているクローンに妻子の記憶を持たせるのは酷じゃないかと思いますが、クローンにクローンである事がバレる前提ではないからきっとそれで良いのでしょう。クローンの寿命である三年間全てを一体のクローンで賄うための記憶、ぐらいの意識だったのかもしれません。もしかしたら、クローンである事を知ったクローンも居て、処分してきた歴史も既にあるのかも。

それならいっそロボットにしてくれよ、と思いますが、生物の方が機械より安価で済むのかも知れません。ガーティが自由に”歩き回る”ロボットじゃないので、自律的機械より生体の方が安価である説は有り得ます。

 

 

物語の最後で、私たちが最初に出会った〝月で三年過ごしたサム〟は事故現場で眠りにつき、〝月に来て一週間という記憶のサム〟は地球に行き、〝新しく起こされたサム〟はガーティと月に囚われ続けることになります。

三番目のサムはまた繰り返すのか……不憫ではないか。二番目のサムはどうするのか? とハラハラしながら見守っていましたが、二番目サムが採掘機を動かして妨害塔を壊すことで状況を知らせてくれて、窮鼠のひと噛みをしてくれました。

 

三番目のサムが起きてガーティが(おそらく今までの手順通りに)話しかけているとき、ベビーツリーチャイムのオルゴールを思わせる曲が流れて、母親が起きたばかりの赤ちゃんに語りかけているようでした。
また何も知らないクローンによる無知の平穏の再生産かと諦め、平穏を見ようとした時に、採掘機で塔が破壊されて快哉を叫んだ私は、二番目サムがヘリウム輸送ポッドの中で叫んでいた理由が分かった気がします。

三番目サムはリセットされたガーティに見守られてまた三年を過ごすのでしょうか? それとも何かが進むでしょうか?

 

〝サム〟は地球で裁判に追われると思いますが、裁判の合間でも後でも、残された三年の間に一番目サムの望みを背負ってハワイやメキシコを旅していたらいいなと思います。

 

ガーティ

二番目サムが脱出する寸前、ガーティが〝メモリを調べられるとサムが危険だから、リセットしてくれ〟と言うのは、感情があるガーティにとっては自殺のようなものではないか。「君を守るのが僕の仕事だ」と言って、自分をリセットさせるガーティは感情があるようだ。

二番目サムが「俺たちはプログラムじゃない。人間なんだ」と言ったとき、その”We”にもガーティが含まれていたら良いなと思います。

(しかし、「君を守るのが僕の仕事」というプログラムにあくまで忠実に従った出力結果ではないか? とも思えます)

ガーティは性質上外に飛び出すことができないので、人間の体を持った”サム”だけが外に自由になるのは仕方がないです……。

 

 

 

細やかなこと

 

最初の方でガーティが「2週間だ」と言ったのは、〝このサム〟と残り2週間しか居られない、という感傷めいたものが芽生えていたのからでしょうか?

現在を移している筈のカメラの映像に過去の映像が紛れ込むのはなぜ?

 

ガーティが本部と通信している所を起きたばかりのサムに見られたときはどきどきした。まだガーティが信頼できるロボット(※誰にとって?)かどうかわからなかったので、いつ〝サム〟が殺されてしまうのかと緊張していました。

 

主人公が妻からの通信を見たあとに見えた、椅子に座っている女性は誰?
あの女性がサムの娘だとして、どうして”サム”が知らないはずの成長した姿が見えたのでしょうか。
あるいは、何も知らないし地球に行くこともできなかった”サム”のために映画制作者が入れ込んだ娘の幻覚だとしたら、それはメタだとしても、少し救いになるかな、と感じます。

 

起きたばかりのクローンがサングラスを欲しがったのは、まだ光になれていない、という事でしょうか?

 

「本部に報告していない」「僕が君を守るよ」と言ったガーティは、プログラムだけど明らかに〝このサム〟を守る意思がある。「君を守る」が第一の命令だとすると、企業の利益違反になることをしているロボットになってしまうけれど、プログラミング者はもしかしたらその事も考えていたのだろうか? 権利なきルナ産業のクローンに対しての同情か? それともただの設計ミスか?

 

 

何体ものクローンが眠っている場所では、ゆりかごの上で回るオルゴールの音のようなBGMが物悲しかったです。

密偵

2016年 韓国作品

YouTubeの「韓国映画35本で学ぶ朝鮮半島現代史」で紹介されていたので見ました。(↑2024年3月16日まで無料。それ以降は有料会員限定です)

 

高校の時は近現代史というものがあまりに近くて生々しくて好きではなく、受験用には日本史近現代史を勧められたにもかかわらず世界史を取るという暴挙に出た(面白いので苦痛ではなかったです)ぐらいなので小説・映画にかかわらずノンフィクションでも避けていたのですが、少々向き合う気持ちも出て来たところに紹介があったのを機会として見ていこうと思います。

(こうした視聴背景なので、知識不足により的外れな感想になるかもしれません)

 

U-NextとNetflixにあるものから。「韓国映画35本で学ぶ朝鮮半島現代史」で紹介されていた一本目『密偵』です。

 

 

--------------以下内容感想---------------

 

1920年代、という知識だけ頭に入れてみました。

というか自分がこの年代のしかも韓国を知らなさすぎて、前情報がないと「何年……だ?」となっていたかも知れません。韓国では大ヒットだったそうなので義烈団や占領時代、義烈団、などのワードでだいたい何年代か分かるのでしょう。歴史を知るって大事ですね。

 

1920年代の建築美術やアクションが素晴らしかったです。
物語も、密偵である主人公以外に義烈団の中で誰が密偵なのかの疑惑、走行中の列車という閉じられた舞台の中での捜索の緊張、それからやはり理不尽の中にいる人々を裏切っているのでは、という主人公の葛藤に心を絞られました。

 

冒頭で説明に費やす映画とアトラクタを転がして置いておく映画とありますが、この「密偵」は冒頭から面白かったです。
お互いに相手を探りながらの取引で、警戒して早めに来たり時間を引き延ばそうとしたりしている緊張感が伝わります。
義烈団メンバーを包囲している兵ですが、さすがに屋根を飛び越えて移動するのは行軍として無いだろうと感じましたが(無いですよね?)、包囲網を狭めるために「囲め囲め〜〜!」的に地上からも屋根の上からも兵隊がぞくぞく集まっていく画はとても良いです。
暗闇の中の拳銃の発砲で、マズルフラッシュによって一瞬赤々と浮かび上がる画面などドキドキしました。格闘や銃撃のアクションも凄いですが、一番記憶に残ったのは首筋をナイフで切りつけてシュッと血が飛ぶ一瞬でした。
漫画だと筆の軌跡で描けますが、動画でもできるんだと感嘆。(アクション映画をほぼ見た事ないので的外れならすみません)

 

橋本が「ヨン・ゲスンの顔を知る者はいません」と言った次の場面でキム・ウジンが写真を取っているのシーンは上手いですよね。この写真が後々でまた出てくるのが効いている。
一番最初に出て来た義烈団士のキム・ジャンオクの事が尾を引いて、最後の退職届代わりにジャンオクの経歴書を渡すシーンなど、いかにこの主人公のなかで忸怩たる思いが溜まって行ったか知れて良いです。

こうして前に出て来たものが後にまた出てくるものが繰り返されて話に厚みを作っています。

 

チョン・チェサン(元)団長は、自分が密偵でありながら仲間の釈放者を問い詰めて、止めが入らなければ発砲していたというのは良い役者ですね。列車内のシーンで誰が密偵かを突き止めるためにバラバラの集合時間を伝えて、「誰が黄金町の……モギン旅館の……」というのはまさかと思いつつ見入りました。息を詰めつつ「(そうでなければ良いと思いつつ)やっぱり団長かあ〜〜〜〜〜〜!」というあの解放と絶望感。
この列車のシーンは橋本とイ警務がが乗り込んで、逃げ場がない中で如何に橋本の目を逸らしながらどう義烈団のメンバーに伝えるか、というドキドキもあり、義烈団の中の密偵を見つけるドキドキもあり、背景になっている列車の室内装飾も美しく素晴らしかったです。

駅に停車中の蒸気機関車を見ることができますが、SLの威容というのは凄いですね。圧倒的な黒塗りの車体の存在感に蒸気機関の巨大な生き物の鼓動のような音。内田百閒がSLを愛していた気持ちも分かる気がします。
しかし列車内で銃撃戦があってそのまま走行したとは……食堂車のみならず車内の銃撃戦の痕を片付けた人は大変だろうな。義烈団メンバーとその他旅客はそのまま乗車していましたが、次駅停車で清掃が入ったのかな。映画に関係無い話ですけれど。

繰り返してしまいますが、列車のシーンは本当に列車の車内装飾がすばらしく謎解きも面白くて見入ってしまいます。
一等車で映されるのが外国人や日本人客なのがチクリと来ます。話が日帝時代なので登場人物や話の筋で差別構造がありそれを描く物語があるのはそれを含んでみられますが、背景の域でも示されるとよりリアルに迫って辛いものがあります。

 

独立などできない、というチェサン元団長も、諜報員の能力を認められて「裏切り者」と呼ばれながらも日本警察で働いていたイ警務も、そうそう像の取引をしていた富豪も、それぞれそう生きた人も生きるしかなかった人もいたのだろうなと思います。
でも誰しもそう生きたかったわけではないだろうし、そういう国を繰り返さない必要はあると思います。

 

日本内地での特高に捕まったら二度と戻れないと言われた事や小林多喜二の話から、義烈団に対する裁判がある事自体に驚きを感じました(劇的に拷問死するかと)。拷問シーンは薄目薄耳で見ているのでご容赦。
Wikipediaを軽く眺めたら、特高に逮捕されても釈放や裁判事例もありますね)
裁判で自身の心情とは裏腹に「友でもありません」と釈明するイ警務の、ウジンだけが知っている本心に微笑むシーンが心に残りました。このウジンによる信頼や、自身が立場を守るために拷問せざるを得なかったゲスンの絶食による死などが、少しずつ主人公の心を動かして行き、川の流れが石を転がしていくようでした。

警務局の華やかなパーティーの中、ボレロの音楽で淡々と、だが着実に緊張を高めて行き爆破に至るのは見事でした。

これにより勲章も、家族も捨てる事になるし、自分も次のための踏み台としての失敗になるけれど、その道を行かざるを得なくなる。
イ警務の妻子はその後どうしたのでしょうね。イ自身も裏切り者と誹られておりましたが、おそらく妻子の日常にもそうした事はあったのではないでしょうか。安定した暮らしの代わりとはいえ、辛い事もあったでしょう。

 

獄中の石に言葉を刻んだウジンの死、主人公の行方は分からないが残りの爆弾を託された青年が朝鮮総督府に向かうシーンで終えたのは良かったと思います。
後世に生きる我々には、どうあっても義烈団が成功する事は無いと知っているわけで。
それでもエンドロールの最後を爆破音で終わらせたのも、彼らの進むしか無いという決意の現れで良かったです。

--------内容感想終わり--------

 

Wikipediaで知る概要だと、義烈団は巻き添えを作るテロに行き詰まりを抱えたようです。奇しくも劇中の元団長による「たった数個の爆弾で独立できると信じているのか?(要約)」という事でしょうか。
歴史は変えられるけれど、国の独立まで持っていくのは、爆弾ではなく人員が必要になるのでしょうね…………軽々しく後世ののうのうと生きた人間に言われる事では無いかもしれませんが。

 

東部長役の鶴見辰吾さんが自然と当時の世界観の枠に収まっていて、上手いなあ、と思いました。

とにかく中盤の列車のシーンは美術もスリルも面白いです!

次々と裏切られる期待に翻弄されて面白かったです。
これが地続きの歴史の上にあるものなので、単純に面白かった、で終われないのが辛いところですが。ほの暗い時代でしたね。

あまり言葉を重ねても薄っぺらいものにしかならないのでここまでとして置きます。

勇気爆発バーンブレイバーン 第3話「ルル……それが、彼女の名前だ」

ブレイバーンを見る気力が溜まったので見ました。

 

--------------以下内容感想---------------

 

謎の女の子、とても機械ライクな声でした。凄い!

亀が卵を産み落とすシーンがわざわざ挿入されましたが、どういう意味でしょうか。

この女の子がまさに今海辺に生み落とされて、これから生きていく、という意味に取って良いのでしょうか? 大丈夫? こんな真面目な顔でシーンの意味とか考えていて大丈夫? ねえ?

 

イサミが裸になる必要があったのか? と考えていましたが、一話通して見てみると『突然巨大ロボに乗る事になった主人公』が初戦を乗り越えたとき、戦いが恐ろしくなってロボから降りられなくなる、という状況が再現できてるんだなー、と。ホントにそんな被せを意図した演出かは分かりませんが。パイスーに着替える理由のため? いや裸にならんくても「ブレイバーンとの接続の最適化」みたいな感じで専用パイロットスーツを作る理由はできるしな……。
まあでも、〝初戦の熱狂が冷めて戦う自分を見つめる〟の変奏曲みたいな感じですね。

 

ルイス・スミス少尉……きみのラッキースケベ遭遇は主人公適正があるよ……良かったね……ヒーローロボには乗れてないけどね…………。

宿のおばちゃんよ……男が気絶した少女を抱えて宿取りに来るのはもちょっと猜疑心つよつよで見ていいんじゃないか、こんな時でもあるし……と思ったがまあそこまで破滅的な世界観ではないからいいか……スミスが見るからにいい人だった、という事でひとつ…………。

 

そしてブレイバーンはどこか不穏なのでした。
謎の女の子が初めて声を出した時、「ルル……それが、彼女の名前だ」と断言。視聴者としては「うぅ」か「うう」ぐらいにしか聞こえなかったので、何か別の単語の可能性はどこ行ったんじゃけぇ? と思いました。いや、もうブレイバーンは元々デスドライブに居たんだろうな。もしかして私が忘れているだけで、ブレイバーン自身もデスドライブと同じだって言ってたかもしれない? むしろこの地球侵攻の艦と一緒に来たかも知れない? (デスドライブについては語ったが、自分の出自については言ってなかった気がするけどなぁ)


<次回持ち越しの謎>

・ブレイバーンは本当は何しに地球に来たんですか?(疑いの目)

地球に落ちて来た男(2022) 第3話 舞い降りた約束の天使【感想】

<THE MAN WHO FELL TO EARTH 3. NEW ANGELS OF PROMISE>

 

世界はファラデーを知り、これから(1話冒頭のようにプレゼンするまでになるのか)走り始めます。

 

-----------以下 第3話内容感想------------------

 

しかしみな、〝宇宙人〟という結論に到達するのが早い。10話しかないから仕方がないが、現実的にはちょっと結論が早いですね。(物語内としては正解だから良いのですが)

 

病気を引き受けて大変な事になったりスキンスーツが変形したり、母天体以外で生活するのは大変そうです。

そうそう気になって検証しましたが、ファラデーがプールに浮きながら見ていた星空は、いて座のあたりなので、おそらくアンシアもその方向(銀河の中心方向)にあるのではないかと考えます。
銀河のうち疎であるところよりも、密集しているところの方が生命が発達している星もありそう、というイメージにも合致します。

 

サブタイトルの「NEW ANGELS OF PROMISE」とは?
新約聖書の〝約束〟に掛かるとは思いますが、その〝新しい約束〟を理解していないのではっきりとは分かりません。〝神の国〟あるいは〝神もたらす平穏〟のようなものだと思いますが……。
ファラデーとジャスティンによる量子融合が地球とアンシアを救うだろう、という事かなと思います。最後のブッククラブの人々にとっては、地球外の技術を見せられたときにはまさに、ファラデー(とジャスティン)が新しい世界を齎す天の使いのように見えた事でしょう。

 

ファラデーが量子融合器(?)を出したとき、ロンドンの建物まわりの電気が点いた、って事でしょうか?
BGMが「主よ人の望みの喜びよ」で、光や明かりというのはまさしく人の希望の象徴なのだと思いました。

PERSONA -trinity soul- 第1話 特A潜在 【感想】

静かさの中に謎が満ちている雰囲気が好きです。

 

--------------------以下1話内容感想-------------------

 

※視聴2週目です。

※1話以降のネタバレを含む場合があります。

 

 

以前、ある程度は見た事があるのですが、途中でタイミングが合わなくて視聴が途切れてしまっていました。

なんとなく謎が見たい気分になったのでU-NEXTで探しての視聴です。

 

 

それにしても冒頭2分の謎の提示が面白い。
海に沈む少女は何者? 潜水艇との関連は? 人気のない潜水艇とは? 鳥影もない雪の降る海に羽? 「そこにいるのか」は誰をさがしているのか?
誰もいない潜水艇、食べかけのサンドイッチ。マリー・セレスト号事件を思い出せといわんばかりですね。(誰もいなくなった船で「まだコーヒーカップが温かかった」というエピソードにドキドキしたものです。あれは新聞が面白く書いただけだと知ってがっかりしたものの、謎には惹きつけられます)
謎を出すだけ出してOPに入ってしまう潔さも好きです。

 

10年会っていない兄弟の関係性、長兄が追っている事件の概要、これが静かにかつ説明的で無い程度に自然に示されていて好感が持てます。

リバース、A潜在、「服を脱ぎ捨てた様に」。
冒頭2分と合わせて、そういう世界観をなんとなく示されました。

 

家の表札の雪を落とすところで、さりげなく四人目の名前が見えていました。
この双子がなんとなく影をおとしている雰囲気だけが見えるの、うまい作りだなと思います。
家の裏手の森のシーンは、双子の妹の方が(夏の一場面として)思い出されているのか、それとも冬の雪の背景で羽のペンダントと一緒に(幽霊の様に?)そこにいるのか……?

 

初めはわからなかたけれど、主人公が飛行機の中で”夢に見たやつ”は兄のペルソナ?

家に入ってから諒を見つめていたのと、小さい子の服を整えていた時の洵は妹の方?

 

シュールな異形頭のEDは良く覚えています。
懐かしく思いながらまた忘れないうちに2話を見ようと思います。

 

・冒頭の赤い髪の少女が海に落ちる様

・指を差すのと潜水艇の浮上タイミングが合うのは、関連があるよ、という事?

・海の白い羽は何を意味してる?

・洵の「無理しなくてよかったのに」とは?

勇気爆発バーンブレイバーン 第2話「イサミィーーッ!そろそろだよな、イサミィーーッ!!」 【感想】

サブタイで確信しました。
これは真面目な顔をしてボケて見せてる作品や……。
(記事タイトル書くの恥ずかしい)

 

OPが「昭和でもこんな歌の感じやったか⁉︎」みたいなもうもろギャグです、って顔のまさに作品の自己紹介OPとして作ってありました。(でもなんとなく時々特にスミスさんが星を背景に沈んでいく画などシリアスな背景があるようなほんのり気がするよく分からないけれど)

 

--------------以下内容感想---------------

 

ブレイバーンが敵の成り立ちを説明してくれました。
だが明らかに君も無機物とくに金属に命が宿ったやつですよね?

一話時点ではまだ、とりあえず子供向けスーパーロボットだけど大人の懐古にも対応しています、みたいな作品なのかと考える余地を残していましたが…………こりゃ大人がターゲットだわ。すまん、「さあ、私の中に!」のきもちわるさ(もちろん声優さんはわざとそう演技されている)から目を背けてはいけなかった。きもちわるいと思わせるように作ってあるからそう感じるのは間違っていなかったんだ。という二話のブレイバーンくんでした(……”さん”かもしれない?)。

パトスを熱弁するシーンはほぼ連想ワードで構成されているしそのセリフに被せて水が流れるのでもう確信犯ですね…………。会議室のみなさんがうんざりしていて視聴者の共感は主人公じゃなくてここに集められるという(なので作品の主眼は”こうしてツッコミながら見てください”な事だと思います)。

 

アイキャッチサウンドと画もどことなく往年のロボットアニメ感。
音楽といい、画といい、この〝寄せている〟感を作って見せているのが逆に凄いなと思います。ロボ同士の戦いで金管の演奏や和風の音がちょっと浮いて作ってる感がする。

 

スミスさん、主人公より目がきらきらして見えるのもバランス良い顔しているのも、「生理的に無理」って断られるから必要以上に下げ対象に見られないためにそうしているのでは無いでしょうか。「生理的に無理」はきつい……ブレイバーンさんはもっと地球人の感情を学習して……ください。スミスさん何度も思い返して傷ついてるやん……。

そういえばブレイバーンくんは「ミスター」って呼ばれて否定しないから「ミスター」で良いのかな?

 

二話ではスミスさんの好感度があがる回でした。
主人公を助けてくれるし産卵中の亀にも謝ってくれるし。優しい。つまずいて「すまない、産卵中に」は天然ボケの才能も感じます。

でも浜辺の女の子はカラーリングと脱出ポッドが飛び出してた描写からあの敵機のやつだから拾ったらいかんやつではないでしょーーーーか?
だからと言って今回見えたスミスさんの性格的に拾わない事はないでしょうし、しかし作戦本部にバレたら(イサミと同じ様に)拷問になるかもしれないし、しかし匿うとスミスさんの立場がまずいし、で一番ハラハラしました。

この浜辺がCパートってことは、衝撃謎EDよりも次回視聴動機へのアトラクタとしての作用を期待されていたって事で…………ええそうですね、一番ドキドキしたし次回も気になります。

 

 

今週の謎:

・戦闘後に服が無くなる仕様とは?
 一体的に活動したという事でアクエリオン的なあれのさらに婉曲表現かと考えましたが、一話の後に服がなくなったのではなく今回が初めて的なイサミの反応だったので、そういうわけではない模様。(では何故?)

・EDは何故舞台で歌って踊っているのですか? ??? ???????

 厚みのある手に指を絡めていく動きがなめらかで何故そうまでしてこのシーンを? そういえばなんで脱いでるんだろう? この世は所詮舞台装置??????

ギャグのツッコミアニメとして見るようにと作っているのでしょうがつい突っ込んでしまいました。